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「黒豚しゃぶと和牛しゃぶ、二人前追加、あと、ビールも」
店員を呼んで、次々に注文を繰り返す。
「代行呼ぶから、お前も飲んだら?」
「いい。そんなに頼んで大丈夫なの?」
「なにが?」
正造は、ビールを飲んでタバコを吸いたくなったようで、ポケットに手を突っ込み探している。
「お腹と財布」
奢って貰うのも悪いと思っていたけど、ここまで食べるとワリカンは厳しくなってきたところ。
給料日まで まだ、かなりある。
「どっちもご心配ご無用、俺は胃下垂だし、金は、親父の香典が黒字だったから」
「えっ!それで食べてるの?!」
「ばか、冗談に決まってるだろ?」
リアルな冗談に、一瞬見る目が変わったわよ。
「はえーな。親父死んで10日かあ」
「うん…」
これから、まだまだ大変なことが残ってる。
そばで手助けしたいと思ってるのに、
私も状況も思う通りにはいかないね。
「苺」
「ん?」
店員が運んできた肉類に、手をつけないまま
正造が、
酔っているのか、白い肌を赤くさせて
私のしたの名前を呼ぶ。
「こんな場所でなんだけど」
「こんな?」
私はドキドキしながら、
東京出店の言葉を待っていた。
「来年、一緒にならない?」
い………………
まさかの
二回目の、プロポーズ。
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