オリエンテーション

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1.  「お待たせ」  タブレット端末に秋奈先生が現れた。 神宮秋奈先生。恐らくタブレット端末のキャラクタと同じ姿何だろうけれど、赤みがかったロングの茶髪で、紺色のスーツに何故か下はミニスカートを履いていて、そこから生える網目のストッキングの足を組んでいる。  「それじゃあ、問題いきましょうか」  秋奈先生は何時も僕達にこうやって問題を出してくるんだけれど、現国や数学、化学とか経済と言った学問とは違うタイプの問題なんだよなぁ。  「A君は生徒会選挙で圧倒的不利だったんだけど、たった一晩で不利を逆転どころか大差まで付けて生徒会長になりました。 A君を生徒会長にしたからくりはなに?」  こんな感じの推理クイズを専門的に出してきて、生徒会選挙のからくりだか何だかをタブレット端末に入力すれば宿題を提出したことになるんだが、 成績激落ち、運動激落ち、見た目中落ちで回答出すのに人一倍時間が掛かる僕には正解出来る自信が無い。  「制限時間は明日の17時まで。時間厳守で頑張ってね。正解出した子には私からご褒美あげるわよ」  秋奈先生の出す問題には必ず制限時間とご褒美が付いている。まぁ。これが却って僕達生徒のやる気を煽ってしまっている訳だ…。  「最後に不正解者と、いんちきした子は、ペナルティーで回答権を没収するから注意してね」  端末の画面の秋奈先生はそう言うと画面隅のパイプ椅子に腰を掛け、眠りこけてしまった……。  生徒会選挙のからくりかぁ。 激落ち組の僕に参議院選挙とか衆議院選挙とかの事もよく判らないのに、学校の選挙の問題が溶けるんだろうか。  相変わらずの無茶ぶりだ…。  僕は机に用意したチョコ菓子をひとつまみしながら、画面の中の先生を眺めて考える。
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