第1章

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「蛍ーっ」 「…遅いわよ、蜜柑」 ハァハァと息を整えながら、蛍が作ったカメ吉を蛍の目の前に投げる。 「ーっ、何が遅いねんーっ…ホンマなんか、ホンマに東京の学校行くん」 冷静沈着な今井蛍とは打って変わって、怒りを露わにするのは佐倉蜜柑。 「えぇ」 「何でやっ?っ何でーっ今更報告すんねんーっ」 蛍が蜜柑に転校すると、報告してきたカメ吉は蛍の家から蜜柑の家に着くまで1週間ちょい経過していたのだ。 「そうやって泣くからよ、私の蜜柑はいつも笑顔でいて…アナタの笑顔は誰よりも奇麗で可愛くって、私の希望の光で輝いた太陽の様な笑顔よ…だから、笑顔でいて」 涙をいっぱい溜めた顔をゴシゴシと拭き、蛍に笑顔を見せる。 「ーっ…蛍?っ、大好きやっ、大好きーっウチの大切で一番大事なたった一人の親友やっ」 だから…待っていて、蛍。 多分…ウチは学園に行ったら、蛍とは一緒には過ごせなくなるかもしれない…一緒には卒業できんかもしれないから…。 だから…待っていて。 ウチの覚悟が決まるまで…。 蛍がウチの事を覚えていなくなるまでは…。 今ウチが蛍と一緒に行くコトは出来ん…蛍とウチが親友だと分かれば…あの人は…。 「知ってるわ、大丈夫よ手紙書くし、長期休暇の時に帰ってくるから」 「ーっ」 知ってるんよ、蛍…。 ウチ知ってんねんよ…蛍。 アリス学園がどんな場所か…。 何でーっ何で嘘っくんーっ。
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