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「蛍ーっ」
「…遅いわよ、蜜柑」
ハァハァと息を整えながら、蛍が作ったカメ吉を蛍の目の前に投げる。
「ーっ、何が遅いねんーっ…ホンマなんか、ホンマに東京の学校行くん」
冷静沈着な今井蛍とは打って変わって、怒りを露わにするのは佐倉蜜柑。
「えぇ」
「何でやっ?っ何でーっ今更報告すんねんーっ」
蛍が蜜柑に転校すると、報告してきたカメ吉は蛍の家から蜜柑の家に着くまで1週間ちょい経過していたのだ。
「そうやって泣くからよ、私の蜜柑はいつも笑顔でいて…アナタの笑顔は誰よりも奇麗で可愛くって、私の希望の光で輝いた太陽の様な笑顔よ…だから、笑顔でいて」
涙をいっぱい溜めた顔をゴシゴシと拭き、蛍に笑顔を見せる。
「ーっ…蛍?っ、大好きやっ、大好きーっウチの大切で一番大事なたった一人の親友やっ」
だから…待っていて、蛍。
多分…ウチは学園に行ったら、蛍とは一緒には過ごせなくなるかもしれない…一緒には卒業できんかもしれないから…。
だから…待っていて。
ウチの覚悟が決まるまで…。
蛍がウチの事を覚えていなくなるまでは…。
今ウチが蛍と一緒に行くコトは出来ん…蛍とウチが親友だと分かれば…あの人は…。
「知ってるわ、大丈夫よ手紙書くし、長期休暇の時に帰ってくるから」
「ーっ」
知ってるんよ、蛍…。
ウチ知ってんねんよ…蛍。
アリス学園がどんな場所か…。
何でーっ何で嘘っくんーっ。
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