第1章

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「…じいちゃん、ウチ」 ぎゅっと蜜柑が拳を握る。 蜜柑に背を向けて、お茶を啜っていた祖父に蜜柑の様子に気付き振り向く。 「…蛍ちゃんか」 「…」 コクリと頷く蜜柑を抱き締める祖父そして、蜜柑の小さな身体をさする。 「ゴメンナ…ゴメン」 「…いいんじゃよ、ワシの事はただ蜜柑お前のアリスは」 「…多分、学園に行ったら一生学園から出られない、そやから…じいちゃんとは一生あえへんくなるーっそれはイヤやーっそんな事イヤや」 ぎゅっと祖父にしがみつく、蜜柑の小さな身体は小刻みに震えているのが振動で伝わる。 「…蜜柑」 「……バレるまではじぃちゃんと一緒にいたかったんよ」 この小さな村に蛍が来て、アリスだと分かっても離れる事が出来なかった。 何でや、何でーっ蛍がアリス持ちなんねん。
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