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それに、俺は、当時から志島も宗像も、大好きな親友だった。羨ましいと言われて考え込んだが、俺の宝物だと今は言える。
「そっちは、一穂か?」
「そう、ああやって一穂も、目が覚めずに病室で眠っていた。何度も病室に通ったな…」
まさか、一穂も魂が入れ替わったということではないだろう。
「今は、黒井が居るから一穂も元気だけどな」
御形家、天使を護符の代わりに使用しているのだ。
「豆大福、買って帰ろう」
残り少ない豆大福を、あるだけ箱に詰めて貰うと、道を歩きだす。
「あえて聞いていなかったけど、一穂と年が離れているよな。何か理由はあるの」
御形と一穂は、十歳離れていた。御形には姉も居たので、初めは親父さんの隠し子?を引き取っているのかとも思った。
「無いと思うよ。親の話によると、俺の後に、何回か流産があったのだそうよ。で、もう二人でいいかと思ったら、一穂が生まれた」
豆大福のおまけに、何故かせんべいが入っていた。
「で、黒井、伊東 宗の欠片に聞くの?」
病室には、欠片どころか魂さえも無かった。欠片で会話になるのかは疑問だが、勝手に決断はできない。
「まあね」
最近、金にもならないのに、ついお節介をしてしまう。これならば、霊能力者をやっていた方が良かったかとも思い始めた。
「でも、御形。俺は、霊能力者を辞めるつもりでいた。これ以上、仕事を持って来たら、俺、霊能力者に戻るよ」
せんべいを食べてみると、甘い物を食べた後の塩味でおいしかった。御形は、頷きもせずに、淡々と歩き続けていた。
「分かっている」
でも、俺も天使だ。きっと、体質的に問題に首を突っ込んでしまうのだろう。
御形家に到着すると、御形が、伊東 宗の事故のあらましを調べていた。書類には、道の状況、天候、その他付近で何があったかの状況まで詳細に記されていた。
秋だったが夏のような暑さだった。港に近い市場で、母親が電話で予約していたサンマを受け取った。発泡スチロールに氷を詰め、ビニールに詰めて車に乗せた。今日は母親の姉妹がやってくる。
大量のサンマは、母が姉妹と分けると言っていた。急いで帰ろう、氷が解けたら車も臭くなってしまう。
小型のスポーツカータイプの赤い車、中古で買ったのだが、アルバイトで貯めた金がこれで消えた。
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