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CATEGORY HEAVEN3
夢の中で見る夢
第一話 桜守(さくらもり)
通勤、通学で混みあう電車から、いつも瞬間、森が見える。
住宅街が続き、森、又住宅街が続く。ずっと見過ごしていた森が目に入ったのは、事故で電車が止まったときだった。
駅でもないのに、電車が止まった。アナウンスが入り、踏切で事故らしい。学校に、遅刻しそうだ。乗客の、特に会社員は、時計を見てはイライラを募らせている。
イライラしても、状況は変わらない。でもイライラとする気持ちは、伝染する。車内から目を逸らすように窓を見ると、森が在った。
こんな所に森があったのか。
神社の境内にも似ていたが、下草が生え放題の様子から、自然の森のようにも見えた。未開発の土地とも呼ぶのかもしれない。
いつか、知らない間に、ここも住宅街になっているのかもしれない。でも、そんな事はどうでもいい。未来も、夢もない気分で森を見ていた。
そんな時、その人を森で見つけた。
学校の教室。賑やかなのは周囲のみで、俺の周囲は静まり返っている。
最近、俺自身は、偽霊能力者は辞める事にしたが、俺の実家は地元では有名な、霊能力者の家系だった。女性にしか、能力は受け継がれないので、男である俺は、無能力者となる。
その無能力者であるのに、俺は、祖母や母の仕事を手伝っていたので、偽霊能力者と名乗っていた。胡散臭い家系なので、比較的、自称まともな人間は係りを持とうとしない。
実家の問題もあり、又、俺自身に係ると呪いがかかるなどの噂もあり、俺の周囲には人が寄り付かない。
その俺に、遠慮もせずに話しかけて来る人物は、かなり限られている。
その一人、前の席に居る、荒川。
「でな、電車で森に人が立っている姿を見ると、右手に激痛が走るのだそうよ」
霊能力者は止めたと言っているのに、電車の噂を俺にしてくる。
机に突っ伏して眠っていたかったが、余りに煩いので起き上がった。
「森の方を見なければいいだろ…」
見たくなければ、見なければいいのだ。
「それがさ、主将が既に見てしまって」
バスケ部主将が、右手の故障で医者通いになっているのだそうだ。このままでは、試合に支障が出る。
「頼む、どうにかして、黒井」
手を合わせるのならば、俺ではなく、どこかの寺にして欲しい。俺は、呪いに滅法弱い。
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