第1章

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 俺が、言い方を選ばないならば、軟弱そうな姿に変貌したのは、中学になってからだ。身長が伸び、室内のスポーツのせいか色が薄くなった。筋肉はあるのに、細く見え、彼女の玲那には詰られていた。『玲那よりも綺麗にならないで!』俺も出来る事ならば、精悍で男らしい方が良かった。  御形の夢だからで、納得できない何かがあった。でも、御形に聞けずに、学校に着いてしまった。 「なあ、荒川、御形と同じ中学の人って知っているか?」  前の席の荒川は、本人に聞けよと言いつつも、何人かの名前を挙げてくれた。  俺から話しかけて、相手の反応が怖いが、比較的、御形の近所らしき人物に声を掛けた。 「あの、ごめん、御形と同じ小学校だった?」、 「そうだよ」  廊下で声を掛けると、明らかに避けられていた。俺の悪い噂は浸透している。 「藤木って知っている?」  相手の目が、周囲を見た。 「知らない…」  何か知っているようだ。でも、答えたくないのは、相手が俺だからなのだろうか? 「そっか…」  どうするか、他の人に聞いても同じ反応だろうか。藤木という人物、言えない何かを孕んでいるのだろうか。 「野球していたメンバーの、北村と飯島に会ったよ。同じ高校で、今は野球はしていないそうだよ」  北村も飯島も、髪が長かったので、野球部ではなかっただろう。推測で言ってしまったが、多分誤りではない。 「ああ、北村と飯島。時々、見かけるよ。野球、辞めたんだ」  少し和んだのか、ぽつりぽつりと、藤木の事を教えてくれた。地元では有名で、母親が駆け落ちしてしまったのだそうだ。  駆け落ち相手は、ボランティアで来ていた野球のコーチだった。母親は、藤木の練習を見に来ていて、ある日、コーチと二人で居なくなってしまった。田舎だったので、一時期はその話題でもちきりになった。  コーチの息子も、同じ小学校だった。藤木と激しい口論をしていたようだ。  そして、藤木は学校に来なくなった。暫くして、父親の実家に引き取られたと聞いた。  そんな事があって、皆、その場所では野球をしなくなった。  北村と、飯島を含め数名は他の野球クラブに入った。 「ありがとう」  しかし、その藤木と、俺の顔が似ているのが気になる。藤木という奴は、今はどうしているのだろうか。  他の者にも、藤木の事を聞いてみたが、おおよそ同じ内容だった。 「気になる…」
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