第1章

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『桜井さん、桜井葵さん、お待たせ致しました。』 銀行の窓口からおネエさんが私の名前を呼ぶと 途端に周囲でざわめきがおきた 私はフツーの大学一年生 そんな私の名前で、どうして周りがざわめくのかって? 「なーんだ、やっぱり居るワケないって!」 「しかも、女だしー…」 「え、何。あれって本名?」 そんな謂われのない責め句にも、いい加減慣れた 当たり前でしょ。居ると思う方がどうかしてる ええ、女ですが何か? 正真正銘、本名ですけど? 心の中だけでそう返し、深呼吸をして心を落ち着けた 私はある人と同姓同名なおかげで、ここ2年程大変な迷惑を被っている
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