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そんなロロを無理やり膝に乗せ悪びれもせずに笑う。
「あら。ここだったら炎の心配もせずにゆっくり喋れるじゃない。そんなの……」
ウェンズデイがまだ学園に入る前は、ウェンズデイの周りには沢山の人がいた。両親や兄弟はもちろん、近所の子ども達とも別け隔てなく遊んでいたし、学園に入ってすぐも友人と呼べる人は沢山いた。
それでも、学園に一度入ってしまえば卒業するまで育った村に帰る事は叶わないし、学園でもウェンズデイのあまりの落ちこぼれっぷりに友人と呼んでいた人達は1人離れ2人離れ、今ではまともにウェンズデイに口を聞こうとする人は嫌味しか聞いた事がないラスト1人だ。
「私にはロロがいるから、寂しいなんて思った事はないけどさ。それでも、あんだけしか喋って無いのに楽しかったって言うなんてどうかしてるわよ。せっかくなんだから、私の苦労話を聞いて貰って同情の涙を貰ってやるわ!」
《面白い人の子だな。この誇り高い竜に同情をするか》
「あら?同情じゃないわよ。私は涙が欲しいんだし、あなたはたまには会話するのも悪くないと思ってるんでしょ?丁度良いじゃない」
《良いだろう。人の子よ。聞かせて貰おう。言っておくが、私は笑い上戸だから、期待には添えんかもしれんがな》
竜がいかにも愉快そうに炎をあげた。それを見てロロが呆れたようにため息をつく。
『笑い上戸?丁度良いよ。ウェンズデイの苦労話なんて笑い話と変わんないからね』
言うだけ言うと、諦めたようにウェンズデイの膝で丸くなった。
ウェンズデイは待ってましたとばかりに、竜にこれまでの学園生活の話を始める。憎っくきラストの話、派手に箒だけ飛ばして教室の皆を圧倒させた話や、雪に閉ざされた寒い教室を暖めようとして爆発させた話、名案だと思ったベッドカバーでの初飛行の話。
ウェンズデイの話に竜は炎をこらえきれず笑いっぱなしだった。笑い上戸なだけあって目に涙すら浮かべて笑う事もあった。
悔しがったり怒鳴ったりしながらウェンズデイもいつしか竜と同じように笑いながら、ご飯を食べる事も涙を貰う事すら忘れ1日じゅう喋り続けていた。
『竜の笑い涙が炎の熱で結晶になってる』
楽しげに出てくる涙は炎に煽られキラキラと輝きながら竜の足元へと落ちていく。それはとても美しい光景だった。
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