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『魔法使いの箒ってさ?飛ぶ為にあって掃除する為のモノじゃないと思うんだけどなぁ』
学校の裏庭で乱暴に落葉を集めているウェンズデイに、呆れたような声でウェンズデイの使い魔ロロが声を掛ける。
『ま、ウェンズデイにとっちゃ使い道は1つしか無いんだろうけどさっ』
風に吹かれてウェンズデイの乱暴な箒に嬲られ、集まってるのか散らかしているのかよくわからない落葉を眺めながら、真っ黒な翼を持つ黒猫の使い魔はウェンズデイを手伝う事なく、周りを飛んでいる。
『や、ウェンズデイにとっちゃ箒の使い道は1つどころか、1つも無いかもしんないねぇ』
「うるさい!馬鹿猫!」
炎のようだと言われる赤い髪を逆立てながら、箒をロロに向かって振り回すが、ロロは涼しい顔のまま自慢の漆黒の羽根をはためかせ器用に箒を避けるとウェンズデイの肩にちょこんと乗った。
裏庭に居るのはウェンズデイとその使い魔ロロの1人と1匹だけで、遠くからは魔法の詠唱歌を歌う声や慣れない実習にはしゃぐ生徒達の声が聞こえている。
ウェンズデイは午後の授業が始まってすぐに、魔法を上手く使えない事を馬鹿にしたクラスメイトを拳で黙らせ、更に追加をしようとしたところで先生に【縛り】の呪文で拘束された。そして、説教で授業を中断する代わりに箒を持って裏庭に行けと命じられたのだ。
『皆の迷惑にならない所で飛ぶ練習をしなさいって事じゃない?』
15歳になっても飛べない魔法使いは、学園広しと言えどウェンズデイただ1人だ。もう少し言うと、得意不得意あれど二桁を超えた年齢で飛べない魔法使いもウェンズデイただ1人だ。
「うるさい!こんな所で練習して飛べるようになるんだったら、もう何年も前に飛べるようになってるわよ!悪口言ったラストが、悪いんだから私を追い出さずにラストを追い出せば良かったのに!」
暴れ足りないのか、箒を乱暴に振り回し乾いた落葉を更に撒き散らす。
『まあ、ラストは優秀だしウェンズデイみたいに暴力的じゃないし、先生の覚えもめでたいからねぇ。追い出すなら、僕でもウェンズデイを選ぶね』
「あんた!私の使い魔のクセに生意気よ!」
ロロ目掛けて自分の肩に思い切り箒を振り下ろす。もちろん、ロロはひらりと避けて箒はウェンズデイの肩で小気味よい音を鳴らす。
「痛い!避けないでよ!馬鹿使い魔!」
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