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白川裕美子は、新婚三年目。
夫婦で駅前の小さなパン屋を営んでいる。
夫は二代目、父親から店を引き継いだ。
裕美子は、OL時代に夫のパン屋によく買い物に来ていた常連であった。
ふとしたきっかけで、言葉を交わすようになり、結婚までの関係になった。
結婚後、裕美子はOLを続けていたが、夫の父親が二年前に亡くなり、母親もすでに他界しており、夫一人では店の切盛りが大変なので、これを機にOLを辞めた。
店は駅前という立地で、立ち寄り易い人気のあるパン屋だった。
幸せな生活を送っていたが、駅前の開発が進み地上げ屋らしい業者が店に。
商店街の協力も有り断固として、先代からの店を売る事はしなかった。
ある日、パンの中に縫い針が。
お客様に怪我をさせてしまった。皆は地上げ屋の仕業と思っていたが、証拠が無かった。
噂は広まり、店の売り上げは減少した。
商店街の会合があり、夫が出掛けて行った。その帰り道・・・。
事故に遭った。病院に運ばれたが・・・。
駅前のパン屋は、それ以来開店することはなかった。
裕美子は、夫の店を手放し街を去った。
行く宛もなく、生きる気力も失せて、放浪の旅に。
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