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「あれ?内側…、なんて書いてあるの?」 「知らん…。既製品だ。」 そう言って頬を染めて照れ隠しのように私の指に嵌めたあと、そっぽを向く彼が愛おしい。 自惚れるわけでもないけど、彼ほどの人が既製品のリングなんて買うわけない。 そんなことぐらいわかっていたけど、 本当は頼んで彫ってもらったんでしょ? そうからかってやりたい気持ちをぐっと堪えてケースにひとつだけ残されたもう一方のリングを私の手で眞緒の指に通した。 「…もう失くすなよ。」 「知ってたの?」 「まぁな。」 「気付いてたんだ…。」 「毎日見てれば気付く。」 「ごめんなさい……。」 「もういい。でも、こっちは…できればでいいから、大切にしてほしい。」 そう言って私の薬指に唇を寄せながら、もう一度左手をじっくり見た彼は満足そうに笑った。
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