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それからドレスアップも手伝ってもらって、支度の整った私を玄関前まで見送ってくれるのも彼女の仕事。 「いってらっしゃいませ、お嬢様」 「えぇ。あ、サツキ?今夜はカモミールにして頂戴?お婆様がいらっしゃるから」 「まあ、それは大変ですね」 クスクスと笑いながら手を振る彼女に、鎮静効果のある紅茶の指示を出してから、私は玄関扉に手を掛けた。 一歩外に出ると、今日最後の陽の光が弱々しくもこちらを照り付け、冷たい風がひゅるりと襟元を撫でていく。 春といっても、まだまだコートの手放せない寒い日が続きそうだ。 首を竦めながらコートの襟口に手を当てて、私は玄関前に横付けされた真っ赤なビートルに向かって歩き出した。
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