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適当に会場をひとりでうろつけば、すぐさま声を掛けられる。
愛想笑いを浮かべて、上手にあしらって、一歩歩けば同じようにまた捕まる。
延々これの繰り返しで、もう帰りたいなんて思っていれば、また背後から声を掛けられた。
「こんばんは。望月のお坊ちゃん。」
「あぁ、こんばんは。今夜はわざわざお越しいただいてありがとうございます。」
「いえいえ、このようなパーティーにお招きいただいてありがとうございます。私は椎名一成と申します、あぁ、こっちは娘の梨子です。」
梨子と呼ばれた娘はぺこりと頭を下げて少しはにかむように笑っている。
が、タイプじゃない。
それに、この会話ももう何度目だ。
なんならデカデカと首から名札でもぶら下げてやりたいぐらいだ。
そこにキツめの美人が好きだと付け加えて。
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