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大きな目をくりくりさせて、こちらを見上げるあこはきっと今の俺と父さんの会話なんて何ひとつわかっちゃいない。
それなのに、一生懸命俺を励ますようにこの左手を強く握り締める。
「まお、だっこしてあげる!」
「……いいよ。」
「よくないよ!だってまおないちゃうでしょ…?」
「泣かないって。子どもじゃないんだから…。」
「じゃあ…、んーと。まおがあこをだっこして?」
「え…?なんで?」
「あこがかわりにないてあげるから。」
そう言って、あこは小さな手を俺に向けて精一杯広げてみせた。
今にも泣き出しそうな顔を必死に堪えて。
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