【最終話】

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「今日はお煎茶?」 「えぇ、ラベンダーにしようかと思ったんですが、匂いがきついので玉露にしました。このお庭にもぴったりですし。」 「そうね、ありがとう。」 広がる日本庭園の端には似合わないアスクレピオスの花壇と、四季咲きの真っ赤な薔薇の花壇。 それに目を向けながら、隣で行儀よく正座するサツキに声を掛ける。 「相変わらずいつ見ても綺麗ね。」 「そうですね。亜子ちゃんのお好きなお花ですから、お手入れにも余念がないんでしょうね。」 「え?サツキが世話してるんじゃないの?」 「いいえ、私は御実家の苗木を旦那様にお贈りしただけですよ。」 「え?あのときあなたが世話してるって言ったじゃない…!」 「言いましたっけ?ふふふ。覚えていませんわ。」
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