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カツン、カツン…。
革靴はもう私の真後ろまで来ている。
一体誰?
そしてなぜ振り向いてはいけないの?
そんな疑問を抱えながら捲し立てるように父に問いかけた。
「ねえ、パパ…!今日は私の…っ…!」
誰かのひゅっと息を吸い込んだ音が聞こえたその一拍後。
「お見合い、ですよ? 亜子さん。」
返ってきた返事は隣に座る父ではなく、後ろから。
艶のある低い、鼓膜を震わせるようなバリトンヴォイスが、そう答えた。
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