【1】

14/18

4263人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
理解不能な突然のお見合い宣言の後、目の前に座ったその男は事もなげに口を開く。 「はじめまして、椎名亜子さん。望月眞緒です。」 「……………。」 「亜子、御挨拶なさい。」 「……はじめまして。」 ふてくされるようにそう吐いて、こちらに投げられた視線をものの一瞬で逸らしてやったにもかかわらず、望月眞緒は不敵にほくそ笑んだ。 その涼しげな目元に、ぞわぞわと背筋が掻き立てられる。 細められた鋭い目と、軽そうな薄い唇が、生理的に気にいらないんだからしょうがない。 ”蛇みたいに執念深そうなヤツ”。 それが、望月眞緒に対する私の第一印象だった。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4263人が本棚に入れています
本棚に追加