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「そんなに固くならないでください。今日は我々3人しかいないのですから、楽しく食事をしましょう。」
決して和やかではなさそうな声色で告げられたその言葉が合図となり、私のシャンパングラスにモエの白が注がれる。
ふつふつと浮かんでは消えていく気泡の音。
そんな些細な物音さえ聞こえてしまう大嵐の前の静けさに、私は眩暈がした。
彼のことは知っている。
というより、見たことがあると言ったほうが正しい。
日本有数のホテル、及びレジャー施設で有名な望月グループ。
そのほかにも大手百貨店を買収したり、最近では古美術典なんかにも力を注いでいたりと手広く事業を広げる一流企業。
彼はそんな世界的有名上場企業である会社のひとり息子の御曹司様で、
「望月眞緒」
と検索すればWikipediaにだってみっちりと説明されているほどだ。
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