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煌めくシャンデリアの下。
ショパンのワルツがこのテーブルに流れる空気を幾分穏やかに装うものの、その男の動揺は隠せていなかった。
「父親の私が言うのもなんですが、あの子はああ見えてかなりのじゃじゃ馬でして…。」
「えぇ、それは存じております。」
間髪入れずに返されるのは、彼の娘に求婚する一人の青年の取り繕った声。
……男は、困惑していた。
「それに、あの…。幼馴染の坊主と結婚すると言い張っておりますし……。」
「初恋は実らないものと相場は決まっているでしょう?」
決して引くこと知らない、猪突猛進なその眼差しに気圧される。
それでも、男は声を振り絞って言い返した。
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