【プロローグ】

2/4

4263人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
煌めくシャンデリアの下。 ショパンのワルツがこのテーブルに流れる空気を幾分穏やかに装うものの、その男の動揺は隠せていなかった。 「父親の私が言うのもなんですが、あの子はああ見えてかなりのじゃじゃ馬でして…。」 「えぇ、それは存じております。」 間髪入れずに返されるのは、彼の娘に求婚する一人の青年の取り繕った声。 ……男は、困惑していた。 「それに、あの…。幼馴染の坊主と結婚すると言い張っておりますし……。」 「初恋は実らないものと相場は決まっているでしょう?」 決して引くこと知らない、猪突猛進なその眼差しに気圧される。 それでも、男は声を振り絞って言い返した。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4263人が本棚に入れています
本棚に追加