真夜中あなたに思うこと

【２】

あの日から、私を取り巻く環境のすべてが変わっていった。

望んでもいない男との挙式を控え、仮縫いのままこの身に着せられた純白のドレスも、もうそろそろ仕上がりが近い。

大小さまざまな薔薇の刺繍が万遍なく咲き誇る、まっさらなこの身体を包む真っ白なドレス。

上等な生地でしつらえられたそれは、パリジェンヌも御用達の有名デザイナーが手掛けるもので、呆れるほどに私の好みをついてくる。

大好きなブランドのティアラ、

大きなダイヤモンドがちりじりに煌めく婚約指輪、

夢にまでみたロイヤルデュークスのチャペル。

すべてが私の理想通りで用意され、癇癪の起こしようもないまま準備だけが淡々と運ばれていく。

そうして、あっと言う間に三カ月の月日が流れていった。