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注がれる神父と新郎の責めるような目線に気付いてはいたものの。
結局、…私は誓わなかった。
それなのに。
唇を噛み締め黙りこくる私なんて、想像の範疇だと言わんばかりにこの式は淡々とタイムテーブル通りに進行していく。
それはまるで私の意志などどうでもいいとさえ言っているようだ。
そんな形式のみの式を締めくくるように、
「誓いのキスを!」
と、声高らかと誇らしげに言い放った神父が、昂ぶった感情のせいなのか、私には神ではなく悪魔の使いに見えた。
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