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目の前には、余裕の笑みを浮かべた眞緒。
そんな彼の挑発的な態度を前に、唇を噛み締めることでしかこんな形ばかりの結婚に意を唱えることができない自分が酷く惨めで滑稽だ。
背の高い眞緒が身を屈めれば、徐々にズームされていく端正な顔とその嫌味な細く吊り上がった目。
キス、される…。
その気配を感じ取った私は、一層近くなった彼の唇からフイっと顔を背けて逃げた。
そんな精一杯の拒否の姿勢をまだ諦めずに貫く私を、眞緒は鼻先で小さく嘲笑って眉間の皺を深くした。
「ガキ。」
そうして、小声で囁かれたおよそ彼らしくない汚い物言いに呆気にとられた一瞬……。
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