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朝から降り続いた雨は、時間と共にその激しさを増し、式が終わる頃にはどしゃぶりとなっていた。 たった今、夫となった男の腕に支えられるように大階段を一歩ずつ降りていけば、投げかけられる他人からの”おめでとう”や”お幸せに”が、呪いの呪文のように私の体を重くする。 あんなにも憧れていたロイヤルデュークスのホテルで、豪華なドレスと装飾品を身に纏った花嫁になれたのに。 まさか、こんな愛も希望もないからっぽな結婚をさせられることになるなんて。 こんなの、あんまりだ…。 ガラス張りのエントランスから見えるどしゃぶりの雨を遠くに眺めながらも、ひっきりなしにこの身に降りかかるフラワーシャワーに、私はどこか皮肉めいたものを感じずにはいられなかった。 そうして、その後は記念撮影と披露宴を流れるようにこなし終えてから、二次会はまた後日という当初の予定通り一同は解散となった。
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