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長い廊下を右へ左へと歩いていれば、もともと自室から出ることも少ない私に、すれ違う使用人たちからの物珍しげな視線が突き刺さる。
ヒソヒソと漏れる好奇の噂話は私の容姿に関することばかりで、それがとにかく不快だった。
祖母譲りの色素の薄い黄金色の瞳は常に好奇に晒される。
自分が異質だということに気付いたのは小学校に通い始めた6歳の頃で、それ以来私に向けられる興味の視線が大嫌いだった。
ここでもそれが付き纏うのかと思うと吐き気がしそうになる。
そんな俯いたままの私に、何かを感付いたサツキは努めて明るく語りかけてくれた。
「こちらから出れば、すぐに花壇がありますよ。」
その言葉と同時に開かれた扉の先。
「……………!!」
そこには、一面のアスクレピオスが広がっていた。
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