【3】

8/11

4263人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
長い廊下を右へ左へと歩いていれば、もともと自室から出ることも少ない私に、すれ違う使用人たちからの物珍しげな視線が突き刺さる。 ヒソヒソと漏れる好奇の噂話は私の容姿に関することばかりで、それがとにかく不快だった。 祖母譲りの色素の薄い黄金色の瞳は常に好奇に晒される。 自分が異質だということに気付いたのは小学校に通い始めた6歳の頃で、それ以来私に向けられる興味の視線が大嫌いだった。 ここでもそれが付き纏うのかと思うと吐き気がしそうになる。 そんな俯いたままの私に、何かを感付いたサツキは努めて明るく語りかけてくれた。 「こちらから出れば、すぐに花壇がありますよ。」 その言葉と同時に開かれた扉の先。 「……………!!」 そこには、一面のアスクレピオスが広がっていた。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4263人が本棚に入れています
本棚に追加