真夜中あなたに思うこと

【３】

真昼の高い太陽に照らされた黄色とオレンジのコントラストが、これまでの重い気持ちを掻き消していく。

「綺麗、ね。」

「えぇ、御実家の苗木から育ったものですから。」

いくらサツキがいてくれたとはいえ、こんな見知らぬ土地にたった一人でお嫁にきて、夫と呼べる男とも不仲のまま過ごしたこの一週間。

私の緊張の糸はもう限界とでもいうように千切れてしまう直前のところでキリキリと音を立てていた。

そんな私を慰めるように、咲き誇る一面のアスクレピオスからしばらく目を離すことができない。

「本当に素敵だわ。これはサツキが？」

「…えぇ。私がお分けいたしました。」

可愛らしい小ぶりな花弁を人差し指の腹で撫でながら、しばらく忘れかけていた笑顔を向ける。