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開口一番に言われた言葉は、普段の口調より何倍か冷たい声色だった。
「あなたは連れて行きませんよ。」
唖然とする私に、畳み掛けるように彼はまた怒り口調で続ける。
「なんですかその顔は。そもそも商談や取引のきっかけとなる大事な場に、私の機嫌すら取れないあなたが来て何ができるんですか。」
「わ、私はあなたの妻です…!夫だけそのような場に参加すれば周りが何というか……!」
「こんな時だけ都合よく私の妻だと名乗らないでください。それに、自分の妻にこんな露出の多いドレスを着せる品がない男だと取引先に思われたくありません。」
そう言った眞緒の目は恐ろしいほどに冷徹で、
「…わかり…ました……。」
そう言わざるを得なかった。
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