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そんな私の返事を聞いたか聞いてないかの一瞬で、ピシャリと襖を閉めて出て行った眞緒。 正直、愕然とした。 確かに、私は彼の為に何かをしたいとはこれっぽっちも思ってなどいない。 それに招待者の名前から察するに、あわよくばスバルに会えるかもしれないという思いの方が強かったのだ。 そんな私の安い浮気心など見抜いていると言わんばかりのあのドレスに対する怒り方。 そしてなにより、彼の妻であるということを完全否定されたようなその口ぶりに、思いの外ダメージを受けていた。 「私だって、好き好んであんたなんかと結婚したわけじゃないのに…!」 漏れたその声は、哀しいほどにたった一人のこの部屋に響き渡った。
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