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そうして迎えたパーティーの当日。 それは、眞緒を乗せた車が家を出てから数時間後のことだ。 童話のシンデレラの様にイジワルをされて布団に突っ伏して泣き濡れる私の元にやってきたのは、魔法使いではなく私の一番の友人のサツキだった。 趣味の悪い大御殿の襖越し、優しく語りかけるサツキの声に部屋への来訪を許すと、彼女は両手に一杯の真っ赤な薔薇の花束を抱えて私のそばに腰を下ろした。 「ねぇ亜子ちゃん、見て?亜子ちゃんは薔薇もお好きでしたでしょう?」 「えぇ、薔薇も好きよ…。アスクレピオスの次に好き…。」 未だグスグスと鼻を啜りながら、彼女のその問いに一生懸命応えを返す。
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