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翌日。
そんなことがあったとしても、私は変わらない。
変わってはいけないのだ。
そう言い聞かせて気丈に振る舞いながら、久しぶりにサツキに髪を結ってもらい、いくらか見栄えするワンピースを身に着けて眞緒が迎えに来るのを待った。
昼過ぎ頃に帰ってきた彼は珍しくスーツから私服に着替えたあと、低い声で、
“行きますよ”
と、だけ呟いて部屋を後にした。
客間の前まで辿り着くと、襖を開ける前に振り返った眞緒は念を押すように不機嫌な声で口を開いた。
「あなたは何もしゃべらないでください。
私の隣で笑って頷いていればいいですから。」
「…はい…。」
私の返事を聞いた眞緒は無愛想な顔をそのままに、こちらに腕を差し出して“組め”と目で威圧する。
そして、私が彼の腕を組んだことを確認してから客人の待つその襖を開いた。
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