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「久しぶりだな獅子谷。こっちは妻の亜子だ。」
そう言われて、
「はじめまして」
と、二人に会釈をすると、こちらに目を向けた獅子谷さんがにっこりと笑いながら右手を差し出した。
「望月が結婚したとは聞いていたが、こんな若いお嬢さん貰うとはな。それにしても、変わった目の色だ。千可子より、もう少し薄いか…?」
チクリと胸に棘が刺さったような痛みを感じたが顔には出さず、その手を握り返して、バカの一つ覚えのように笑顔を返す。
すると、隣の眞緒が間髪入れずに口を開いた。
「よせ獅子谷。妻は気にしている。」
「そうか、悪かった。純粋に綺麗だと思ったもんでな。」
その申し訳なさそうな顔に、いいえ、とだけ返しながら、なぜ眞緒が私のコンプレックスを知っているのかが気になった。
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