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話しは随分あっちにいったりこっちにいったりしていたが、嬉しそうに話す彼はきっと奥さんと息子さんを愛してやまないのだろう。
羨ましい。
「あぁ、良かったら抱いてみるか?お前に子どもができた時の練習だと思って。」
「あぁ、そうだな。いいか?」
それを容易く引き受けた眞緒が、私はなぜか無性に気にくわなかった。
私たちの間に子どもができるわけなんてないと、先程自分でもあんなに心の中で毒づいていたのに。
彼が初めて抱く赤ん坊は、私との間に出来た子であったほしかった。
そんな私の卑屈な心なんて知る由もない眞緒は、美人妻からすでに赤ん坊を受け取ろうとしている。
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