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すると、
手慣れたように私の布団を捲りあげて隣に横たわる眞緒。
優しく私を抱き締めるその腕の温もりにドクンと心臓が跳ねあがった。
どうして?
そう聞きたいのに声を出すことができない。
私が起きていることなんて知らない眞緒は、小さな声で何度も私の名前を呼びながら、額に、頬に、瞼に、唇を避けてたくさんのキスを降らせる。
ひとしきりキスをして満足したのか、一度私をきつく抱き締めてから、耳元で蚊の鳴くような声で彼は呟いた。
「あの赤ん坊、可愛かったな…。」
じんわりと胸に浸みわたっていくその優しい言葉は、数時間前に私がほしかった言葉。
あまりの嬉しさに眞緒の胸に顔を埋めると、彼は一瞬息を飲んでピタリと静止した。
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