【8】

4/14

4263人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
ん? おかしくないか…? もっと、こう…、甘い雰囲気と言うものが足りない気がする。 そんなことを考えていた私から早くも目を逸らすと、もう用はないとでも言いたげに自室へと立て籠もってしまった彼は一向にこちらに出てくる気配もない。 なんで? 頭の中でこの言葉だけがぐるぐると回っている。 もしかして、毎晩ベッドで私を抱き締めてくれていたのは別人ではないのかと思えるほどの温度差に涙が込み上げる。 あんなに期待させるようなこと言っておいて、本当は私のことなんて何とも思ってないんじゃないか。 それともあれは全部夢だったとでも言うのだろうか。 惨めさで顔を俯けた拍子に涙がこぼれ落ちた。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4263人が本棚に入れています
本棚に追加