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「誕生日おめでとう、亜子。」
耳元で聞こえる愛しい人の声にまた鼻の奥がツンとする。
意地なんて張らずに今伝えなければいけないのに声を出すこともままならず、ようやく出た声は情けない程に震えて掠れてしまっていた。
「眞緒…。」
「………!?お前、なに泣いてんだよ!」
「ちが…。」
「違わないだろ。ほらこっち向け。」
「や。お化粧崩れちゃったから、見ないで…!」
そんな抵抗虚しく身体を向き直らされるが、正面から彼の顔を見ることがどうしてもできなくて俯く。
すると、ふわりと優しく頭を撫でられた。
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