【8】

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「この恰好…へん…?」 「そういう意味じゃない。…似合ってるって意味。言わせるなバカ。」 コロコロと変わる彼の珍しい百面相は、いつもが無愛想なだけになんだか可愛らしい。 まだ恨めしそうにこちらを睨む姿がとても愛おしく、こんな気持ちはスバルにさえ抱いたことはなかった。 だから、どうしても伝えたかった。 「眞緒…。」 「ん?」 「おかえり。」 「あぁ、ただいま。」 「おかえりの、キス…して、くれないの?」 勇気をだしてそう言った私に、チッと小さく舌打ちをした眞緒の唇がそっと私の額に触れた。 それが嬉しくて、えへへ、と笑いながら彼の背に手を回せば優しい手つきで私を包み込んでくれる。
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