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そうして、自分の舌を一度味わうように舐めたかと思えば、色っぽい声と共に私の後頭部を掴んだ。
「血出た。治して。」
「え?そんな…、治すって言っても…。」
えっと…、消毒液でも持って来いってこと…?
でも、今っていい俗に言う”良いムード”なんじゃないの…?
もう…!眞緒って相変わらず言葉足りない、ってゆーかわかんない!!
些か納得はいかないけれど、自分が噛んでしまったという負い目もあるので、私はしょうがなく立ち上がろうと足を踏み込んだ。
その瞬間、グイッと腕を掴まれたことで、勢いよく体勢を崩して眞緒の胸に頭からダイブ。
イテテ、と顔を上げれば超がつくほどの至近距離でこちらを見つめる眞緒が、
「…舐めたら治る。ほら、早く治せ。」
と、ペロッと舌を出す。
それは確かに血が滲んでいて痛そうで。
でも…、待って…!
待ちたまえ!
そんなの…、できるわけないじゃんか!
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