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「誰でもいいから胸をもませろ」
リーダーの問いかけには、誰も返答しなかった。当然だ。そんな馬鹿馬鹿しい話に付き合う者などここには一人としていないし、一体として存在しない。
なぜなら、限りなく時間の無駄だからだ。
タイムイズマネー。
誰の台詞だか知らないけど素晴らしい。
これほど端的に事実を表すことわざもそうはないよね。
「くそっ、あとちょっとで宇宙の真理に辿り着けそうなのだがっ」
「リーダー。そんな馬鹿げたものに辿り着くのはやめて、仕事して」
あっ、やべ。
リーダーの妄言があんまりひどいから、ついつい反応しちゃった。反射ってやつ。
当然、リーダーはこちらをぐるりと振り向いて、剣呑な眼差しを送ってくる。
「何を言う!これは次のプロジェクトの最重要項目だ!」
うぜえ。
「えっと、じゃあ、私の胸、もむ?」
仕方ないから仕事の手を止めて、手を後ろで組んで、はい、どーぞ。とばかりに主張してみたんだけど、
「阿保か!お前のニセチチもんで、何の足しになると!?」
完全否定された!!
うう、誰でもいいって言ったじゃーん。さっき。そんなんだったら、ちゃんと最初っから、『ただしヒューマンに限る』って言えよお。
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