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わたしは伊藤千晃。
いつもと変わらぬ朝。
千『いってきまぁーす!』
チアリーダーのように短いスカートにばっちりメイク履きこなした茶色のローファーにマフラーを巻き赤い自転車にまたがって1キロちょっと先の少し遠いわたしの学校へ向かう
千『うわぁ………さむ………』
自転車をこぎながら受ける冬の冷たい風に思わずつぶやく
パシャ!
昨日は雨が降ったせいかあちこちに水たまりができている。
わたしがその水たまりの上を通っては水が跳ねる。
あくびをしながら自転車をこぎ続ける。
スーツをきた社会人がわたしの横を通る
わたしもあんな風になれるのかな。
頭が特別いいわけではない。むしろいいか悪いかで分けたら確実に悪い方に入る。
でも進学したい。仕事につきたい。
一年もすれば人生二度目の受験がやってくる。
正直不安しかない
だから今からでもスーツを着た人を見るとつい鼻の奥がツンとなるような思いになる
わたしなりに努力はしているつもりだ。
でもまだできると思う
できるならできるだけ精一杯頑張らなくちゃ
朝からそんな決意を胸に自転車のペダルを力いっぱい踏む。
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