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口元が震える。
俺はなんでこんなことを忘れていたんだ。
唯が見せてくれた三人の写真。
あれがなければ忘れていたなんて。
「なら今日は俺んち来いよ!」
秀行は唯と瞳を合わそうとはしない。
少し日焼けした秀行の頬は赤らんでいた。
俺と唯は言われるがまま、秀行に着いていく。
秀行の家に着くと懐かしい匂いが鼻孔に流れる。
階段を一段一段踏みしめながら秀行の部屋へと向かった。
相変わらずシンプルに片付けられた秀行の部屋。
そうだ。
秀行は昔から整理整頓をきつく親に言われてたんだ。
秀行は部屋へと入るなり自慢のジャズベースを鳴らす。
そして唯にこう言うんだ。
「唯、俺と霧矢は絶対音楽で有名になるから!
そしたら一番に俺達のファンになってくれよ」
ベースを弾く秀行を瞳をきらきらとさせながら見つめる唯。
この光景を何故忘れていた。
俺の口はほとんど無意識に開いていた。
「なぁ秀行。
俺は絶対音楽を嫌いになんかならねぇから」
秀行は満面の笑みで俺と肩を組んだ。
「当たり前だろ!
いつか最高の音楽を作ろうぜ兄弟」
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