第1章

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-文化祭当日- 本日快晴なり。 晴天に恵まれた今日、文化祭が始まる。 一般の人達も入場可能なため、まだ朝の9時だというのに人が溢れ返っている。 美味しそうに食べ物を頬張る者。 女子高生をナンパする者。 家族に学校を案内する者。 十人十色だ。 ちなみに俺、巳島 霧矢含むhated personは体育館で朝一のリハーサルを終え、控え室である美術室にいた。 今年はひとつ上の先輩バンドと俺達でライブをする。 楽はベースの弦を取り換えながら先輩バンドの感想を淡々と独り言のように呟いていた。 「当たり障りないコピーだったね。 あれが今の高校生に受けんだろうな。 セオリー通りの音楽だ。 つまんねぇ」 長髪を結びながら浩がそんな楽に注意する。 「あの方たちも一生懸命音楽をしているんですからそんなこと言っちゃ駄目ですよ」 恭輔はそのやり取りを見てけらけらと笑う。 「あいつらはあいつらでこっちはこっちだ」 けらけらと笑いながら述べる恭輔が一番の正論で論破した。 俺はメンバーに一言だけ台詞を投げ掛ける。 「今日が俺達新しいhated personの初ライブだ。 絶対に成功させよう」 メンバー全員の視線が俺に集中する。 その眼光だけでイエスの三文字が脳に通った。
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