第1章

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文化祭の準備とスタジオに追われる毎日が秀行がいなくなってから初めて生きていると実感をくれる。 俺は思い出していた。 病室から外の景色を眺める秀行を。 秀行の表情は明るかった。 すぐ後ろに死神がいるはずなのに明るかったのだ。 正確に言えば秀行は助かっていたかもしれない。 初めの骨髄移植では数人のドナーが見つかった。 そして移植手術を成功させ退院することが出来たのだ。 しかし去年の今頃、死神はまだ諦めていなかった。 そう、再発したんだ。 二回目の骨髄移植となれば秀行自身の身体への負担が尋常ではない。 それに加えて前回の骨髄移植では数人のドナーが見つかったのだが、二回目はドナーが見つからなかった。 いや正確には一人だけいた。 完全一致ではなかったのだが一人はいた。 一人いたんだ。 秀行の弟、神崎 楽が
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