第1章

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この高校は文化祭に力を入れる。 文化祭のある5月はほとんど文化祭の準備に時間を費やすのだ。 そして俺が担当にあたったのは看板作成だった。 一枚出店の看板を塗り終わり休憩することにした。 廊下を出ると充満した塗料の匂いのする教室から解放される。 制服には少し塗料が付いてしまっていた。 この塗料は落ちそうにねぇな。 そんなことを考えながら廊下で背伸びをする。 座りっぱなしで看板を作成していたため、身体を伸ばすとリセットされる気分だ。 「巳島、ここ最近で変わったな」 隣から聞こえた声に視線を合わす。 そこには出店でやるサンドイッチを頬張る網谷 健二がいた。 「確かにな。 変えてくれたのは尾崎だ」 尾崎という名を出した瞬間、健二は分かりやすくふて腐れる。 「おい巳島。 俺は唯を諦めたわけじゃねぇんだぞ」 俺は真っ直ぐと網谷を見る。 「なら、俺と網谷はライバルだな」
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