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自分で口にしたライバルという単語に自身が驚く。
ライバル?
何を言っているんだ俺は。
自身の答えは頭の中のピースが繋ぎ合わさり出揃っていたというのだろうか。
網谷に目をやると先程までの敵視している瞳とは異なった。
「やっと素直になったのか巳島。
鼻からそうなんだよ。
俺とお前はライバルだ」
攻撃的な発言のはずなのに網谷の口角は上がっている。
何故か嬉しそうなのだ。
「あ、あぁ」
振り絞った精一杯の音だった。
俺は何も変わってなどいなかった。
やはり俺は自分たちのことなど全く分かっていなかったのだ。
そして網谷はずっと巳島 霧矢という存在が尾崎 唯へ抱く感情を分かっていたのだろう。
網谷は俺の肩を一度叩いて文化祭の準備へと戻っていった。
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