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マユミが選ばれた。
マユミが気付くようにと、通り道に置いた。
気付かない。
部屋に置いた。
マユミは見つけた。
「開けてくれれば、後は任せて!」
マユミは開けなかった。
「まだ間に合うから!早く開けて!」
マユミは勉強机の上に飾って毎日、眺めていた。
「時間がない!早く!」
マユミは楽しそうにいつも眺めていた。
「もうだめ!始まってしまう」
…真珠湾攻撃のニュースがラジオから流れた…
「何とかするから開けて!」
…戦局は悪化していった…
「止めてあげるから開けて!」
…毎日、空襲警報が鳴った…
マユミは大切に持ち歩くようになった。
「もうダメ…」
…広島と長崎に熱い光が…
…終わった…
マユミは空襲で行方知れずとなっていた。
焼け跡に"綺麗な箱"があった。
占領軍が、その"綺麗な箱"を見つけて開けた…
箱の中で"天使"が震えていた…
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