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今日は素晴らしく晴れている。
絶好の自律日和(?)だ。
そんでもって今俺は御叶神様からもらった制服を着ている。
「な……なんか、カッコいいな」
白い線が入った黒のズボンに純白のシャツ、紺のネクタイに黒い線の入った白色のブレザーを羽織ったら完璧だ。
今まで和の服しか着たことないからか新鮮な感じだよ。
「お似合いですよ、爽」
「爽はやっぱり和服の方が似合うだろ」
振り向くと、そこには当たり前のように嵐武様と白狐がいた。仕事に取り掛かる直前だというのに。
「白狐、ありがとう。嵐武様も……」
「俺をオマケみたいに言うんじゃねぇよ」
「あ、ごめん」
「てか、また敬語が抜けてるし。神様には敬語使えって何回言わす気だ!!」
「いだだだっ!!ちょ、痛いって!!すんません!敬語使いますから解放して下さい!!」
「嵐武様、爽にそんな行為をしていいと思ってるんですか?怒りますよ」
「すみませんでした。」
ああ、白狐と嵐武様のこんなやりとりを拝めるのも嵐武様に暴力振るわれるのも今日が最後なんだよなぁ。
痛いのは嫌だけど、明日からこれがないと思うと少し寂しい……いや、やっぱ寂しくない!俺はそっちの人間じゃない!!断じて違う!!
「おい、そろそろ時間だ。行くぞ」
ハッとして見れば嵐武様と白狐はもう御叶神様の屋敷の入り口まで歩いていた。
「待って!今行くっ!」
慌てて二人の背中を追いかける。
御叶神様の屋敷を出て北の方角に真っ直ぐ行くと人間界に通じる穴がある。そこから俺がこれから通う学園の近くまで降りるらしい。
降りるのは三人一緒だけど、行くのは俺1人。
あと少しでお別れだ。
「仕事は良いの?忙しいんでしょ?」
「あー、なんだ、その……今日は午前中は暇なんだよ。気にすんな」
嵐武様は相変わらず嘘が下手だ。
暇な時間なんて、1分1秒とないのは知ってるのに。
それがわかってるであろう白狐も何も言わないし。
俺のために時間を裂く必要なんてないのに。
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