10人が本棚に入れています
本棚に追加
――――一体どれ程の時間が経ったのだろうか。突如放たれた青い光に飲み込まれて意識を失った俺は、小鳥の鳴き声が耳に入ってきたことで意識を取り戻した。
……もう、朝か。にしても一体何だったんだあの壺は。
いきなり点滅するわ、ガタガタ揺れるわ、しかも最後には意識を失うほどのフラッシュ焚くとか……
ビックリ系のお宝とはおみそれいたしましたよ父さん、母さん。
んじゃ、今日も学校行く準備しますか。
ため息混じりに目を閉じたままそんなことを思いながら、俺は目を開けた。
すると、目の前には木々がたくさん生えており、俺が今いる場所も父さんの部屋ではなく、芝生の上でうつ伏せに倒れていた。
「…………?」
顔を上げる。辺りを見渡すと、どうやら森の中に出来ている広場のような場所に俺はいるようだった。
「……どこだここ?」
呆然としながら呟くが、誰も答えてはくれな……っ!?
「ゆっ、紫!? 紫!!」
側にいたはずの妹がいないことに気付いた俺は、紫の名前を呼ぶが返事が無い。……アイツが俺を置いて離れるわけがない。じゃあ一体どこに!?
……い、いや、待て。お、落ち着こう。パニックに陥るのは不味い。まず、状況を確認しないと。
俺はまず自身の佇まいをチェックする。……寝間着だったはずだが、いつの間にか制服になっている。あとサイフとかもあるな。
それからさっきのフラッシュの時にはまだ持っていたバットもある。
……まるでゲームの世界に放り込まれた気分だ。取り敢えず寝間着が制服に変わってたり、サイフとかを所持していることに関しては深く考えるのはよそう。
というか考えても分からないしな。
正直な感想はそれだった。深呼吸して落ち着いた所でもう一度辺りを見渡してみると、獣道のような道があるのを見つける。
……このままここにいるわけにもいかないか。
近くに紫がいないことを入念に確かめてから俺は獣道へと足を踏み入れていったのだった。
――獣道に入って歩き始めてから俺は俺と紫がどうなったのか考え始めた。
……あの青い光に飲み込まれてあんなところで寝ていたってことは、ここは俺達のいた世界とは別の世界なんじゃなかろうか?
最初のコメントを投稿しよう!