第1章――平穏な日常――

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――異世界。それは読んで字のごとく、今いる世界とは異なる世界。 俺はそんな世界があると小さい頃信じていた。絵本に出てくるような世界がきっとどこかにあると……冒険家という珍しい職業の父親がいた影響か、小さい頃はとにかく色んな場所に足を運んで探し回ったものだ。 ……まぁ、当然そんな世界はあるはずもなく、しばらくすれば現実を知り、そういった異世界というのは空想のものであるということを知った俺はいつしかそんな世界を探すことを止め、現実の生活に専念するようになっていった。 異世界は存在しない。当然の結論だった。 ――時は流れ、俺…如月優馬は高校二年生となり、妹の如月紫は高校一年生となった。俺達は閑静な住宅街にある一軒家に住んでいる。両親はいない。というりよりは殆ど帰って来ないというのが正解か。 普通なら殆ど帰って来ないと聞けば単身赴任か出張でもしているのかと思うかもしれないが、実は違う。うちの両親は……世界中を冒険しているのである。 ……何を言ってるんだコイツ?と思うだろうが事実である。うちの両親――正確に言うと父親が冒険家で、母親は父親の後を付いていっているというわけだ。 何で も世界中の宝や秘境をコンプリートしたいというのが父親の小さい頃からの夢だったらしく、大人になってもその夢を忘れられず、冒険家になったのだとか。 で、母親はそんな父親の夢を追う姿に一目惚れしたそうな。 普通なら結婚しようなんて思わないだろうが、結婚してくれたおかげで俺と紫が産まれたんだから文句は言うまい。 そんなわけで現在も両親は世界中を飛び回っているというわけである。
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