第1章――平穏な日常――

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両親がそんなんで生活出来てんのか?とよく心配されるが、まぁ一応何とかなってはいる。毎月生活費が必ず振り込まれているからな。 一体何して稼いだ金なのか分からないのが不気味だが、深くは考えないようにしている。生活出来りゃそれでいいのだ。 とまぁ、そんなわけで俺が中学一年生ぐらいの時に両親が冒険の旅に出てからは、紫と協力しながら今日まで生きてきた。だから俺と紫は今時珍しく仲の良い兄妹だと言われている。 世間じゃ兄と妹は仲が悪いのが普通みたいに言われているが、 俺にはよく分からない。というか紫に嫌われたら俺は自殺する。それだけは間違いない。 「お兄ちゃん!早く準備しないと遅刻しちゃうよ!」 「あぁ?もうそんな時間か!?」 紫に急かされて俺は急いで登校の準備をする。今日は月曜日。朝から蒸し暑い上、週始めということもあって気の滅入る1日の始まりだった。 ――学校に着いてから特に何かあるわけでもなく、平穏な時間が過ぎていく。淡々と授業をこなして 、たまに昼寝して……そうしているうちに放課後となった。 早めにHRが終わった俺は一足先に校門で紫を待っていると紫が元気よく走ってきた。 「お兄ちゃーん、お待たせ!待った?」 「全然。んじゃ帰ろうぜ?買い物してからさ。」 「うんっ♪」 俺と紫は並んで歩き出すと商店街へと向かった。ちなみにデートとかではなくてこれは夕飯の材料の買い出しをするためだ。端から見たらどうみてもデートにしか見えないだろうが…… 放課後に二人で買い物に行くのは最近になってから……正確には紫が高校一年生になってからなので紫を知らない奴から見たら 「お前に春が訪れるとはぁ!!」 とか言われそうではあるが気にしない。今までは放課後の買い物は早く学校が終わった紫1人で買い物に行っていたから、それを手伝えるのが俺は今嬉しいのだ。
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