第1章――平穏な日常――

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「ふぅ、今度こそ終わりだな。」 選別作業を終えて立ち上がると、身体中からパキパキと音が鳴る。 それと同時に紫が飲み物を持ってきてくれた。 「今度こそお疲れさま……かな? はい、どうぞ。」 「あぁ、やっと終わったよ。ありがとな。」 礼を言って飲み物を受け取ると一気に飲み干してから辺りを見渡す。 ……どうみてもガラクタの山にしか見えないんだよなぁ。取り敢えず今回届いた荷物の9割は寄贈することになるだろう。デカイのが多かったのが決め手となった。 怪しく光っていた(ように見えた)壺は一応家に置いとくことにした。9割が寄贈となった今回において、この壺はそれほど大きいわけでも無かったからだ。 ……怪しさは他のガラクタとは比べ物にならない位あるのだが、まぁ、今までだって怪しい奴は腐るほどあった。邪神像よりはずっとマシだろう。 「……もう、寝るか。」 時計を見ると時刻は既に23時になっていた。選別作業の途中で風呂には入ったので、後は作業を終えたら寝るだけという状態にしといたのは正解だったようだ。 「あふ……そだね……私も眠くなってきたかも。」 「んじゃ、残すやつだけは父さんの部屋に運んでおくか。」 「あっ、それは私も手伝うよ!」 「え? いや、いいよ。紫は先に寝てな?」 「ううん、私も手伝いたいの。お兄ちゃんに選別作業は任せきりにしちゃったからこれくらいは私にもやらせて?」 「紫……じゃ、一緒にやるか。」 「うんっ♪」 俺がそう言うと紫は笑顔で選別した荷物を運び始める。 ……紫はああ言っていたが、紫は洗い物とか米を研いだりと色々やっていたから選別作業に参加していなかっただけで決して何もしていなかったわけではない。 むしろ俺は選別作業しかしてなかったというのにあの娘は任せきりにしちゃったと言ったのである。 ……こんな良い妹とはもう二度と逢えないだろう。俺の自慢の妹であり、絶対に守り抜くと誓った存在。それが紫なのだ。 紫の笑顔を見るたびに俺はいくらでも動けるようになる気がした。だから俺は紫に負担が掛からないように重い荷物を優先的に、かつ急いで運んだのだった。
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